Taikiosen
GEOGRAPHIC PHOT PORTFOLIO BOOK

目で見る“大気汚染の現状”

   空を汚す原因は大工場や町工場から排出される煙、長距離を走るディゼルンエンジンを
搭載した大型トラックや中・小型トラックの黒々とした排気ガス、そして乗用車、ビル
暖房の煙、農家が地表の保温のために使ったビニールを焼く煙、藁焼き、たき火に至る
まで身近なところで幅広い要因があげられます。
これらの煙や排気ガスが大気中で混ざりあい複合型の大気汚染の原因となっています。
排気ガスやスモッグは主に地表から1,000〜2,000メートルの間に層を成して溜まり、風
に流され漂います。上空を見上げ、わずか1,000〜2,000メートルのガス層を透かして見
上げる空は青く見えてしまうものなのです。
当然のことながら、地表に溜まった排気ガスが濃い日、薄い日で空の青さが異なって目
に映るのです。雲がなく晴れているのに「薄どんよりとした日がめっきり多くなってし
まった…」と感じるのは、こうしたことが原因なのです。このような条件の日々でも、
地表に溜まったガス層の上には見事なまでに美しい“本当の青空”、“紺碧の空”があ
ることを忘れてはならないでしょう。
こうした現実のもとに暮らすことを余儀なくされた私達だが、みんなの財産である日本
の美しい自然と生活環境を守るために、ひとり一人が大気を汚す加害者にならぬよう、
みんなで考え努力することを提案したいと考えます。
☆☆ 以下のページに掲載した写真から目で見る大気汚染の現状を実感してください。
  


        【◎ 視程 =大気の混濁度を示す尺度。適当に選んだ目標物が見えなくなる距離であらわす。(広辞苑より)  
  ◆◆写真をクリックしてください。◆◆
   新宿より関東平野と箱根、丹沢の山々、富士山。   ☞☞

★★
 東京羽田空港測候所が午前9時に「視程30㎞」と発表した
    日の10時頃に撮影。工場や車などから排出された煙や排
    気ガスは地表近くにたまることがハッキリと見て取れる。 

★★ こんな日に空を見上げると、見事なまでにきれいな青空に
    見える。しかし上空から望むと30㎞先からはスモッグが視
    界を遮り見通すことが出来ない現実がわかる。

 

   スモッグに覆われた大阪ビジネスパークと生駒山。 ☞☞

★★
 大阪伊丹空港測候所が午前9時に「視程4㎞」と発表した日
    の10時頃に撮影。この朝は放射冷却で気温が下がり、冷え
    た空気とともに大阪平野の空に排出された排気ガスも地表
    近くに下りる。大阪市中心地中之島から生駒山の山頂まで
    は直線距離にして僅か15㎞の距離 しか離れていない。
    これより低高度では手前の大阪ビジパークが見えるるだけ
    で生駒山を確認する事は出来なかった。徐々に高度を上げ
    るとガス層の上に生駒山が見えてきた。             

★★ このような日に空を見上げると、曇り空にうっすらと青み
    を帯びた状態にしか見ることは出来ない。


 

☜☜ スモッグに覆われた東京―新宿副都心を
               手前に東京湾方向を望む。

★★ 東京羽田空港測候所が午前9時に「視程10㎞」
    と発表した日の11時頃に撮影。新宿副都心の
    高層ビル群はハッキリ確認できるが、スモッグ
    で見通しが利かない。だが、視程4㎞の場合と
    異なり東京湾岸近くのビルが確認できる。

★★こんな日に空を見上げると薄どんよりと見える。
☜☜  関東平野を覆うスモッグ(埼玉県春日部
        市付近上 空より都心に向い撮影)。

★★ 東京羽田空港測候所が午前9時「視程10㎞」と
    発表した日の11時頃撮影。東北地方の空撮の
    ため仙台空港へ移動中スモッグを撮影する。排
    気ガスが風に流され空を漂う様子が見て取れる。

★★ こんな日に空を見上げると「視程4㎞」の時
    と同様に薄どんよりとした空に見える

  大阪南港かもめ埠頭を手前に北を望む。  ☞☞

★★ 大阪伊丹空港測候所が午前9時に「視程30㎞」と発
   表した日の11時頃に撮影。朝は風があったが撮影
   中に風が弱まり視程は落ちた。この時点で関西空港
   測候所では「視程20㎞」と発表していた。
    1,000フィート(約300m)の高度からでは、すぐ北
   のポートアイランドにあるワールドトレードセン
   ターですらぼけて見える。天保山から北はほと
   んど見えない状態といって良い。条件が良ければ
   見えるはずの梅田周辺でさえ、この条件では望めず。

    
  大阪南港かもめ埠頭を手前に生駒山を望む ☞☞ 

★★ 上の写真を撮影後すぐに高度を上げ関西電力南港
   火力発電所上空より高度2,000フィート(約600m)
   少々 で生駒山方向を撮影。1,000フィートの高度
   では見ること の出来なかった大阪平野周辺に位置
   する山々だがこの高度まで上昇すると山の稜線は
   ハッキリと 見えてくる。地上で確認出来ない現実
   が上空から手に取る様にうに認められる。


 
 

 この写真は尾瀬沼の撮影を終え水上付近よりほぼ西を向いて撮影しています。
  北の風が吹いていた時で、中央浅間山の噴煙が左(南)の方向にたなびいてい
  ます。…と同時に北風に流されるスモッグも右(北)から左へ風に流されている
   様子が良く分ります。浅間山の左奥が蓼科をはじめ八ヶ岳連邦の山々。群馬、
長野、首都圏北部のスモッグが南の関東平野へ漂っている様子です。たた
 


 身近な里山を手前に、はるか彼方の山並みを望むことが

出来た故郷の澄みきった青空・・・。

 “視程の良い空”とは…空気中に有害な発癌物質や生物

 に害を与える物質が含まれない綺麗な空を意味し、「生き

 物に優しい空」ということが出来るのです。


こうした資料からご理解いただけるように
美しい航空写真を撮影するには「視程40km以上」の
条件が必要となるのです。

  

☆ 地上で気付かず過ごす毎日ですが、目で見てこれだけハッキリとした大気
   汚染の現実が存在しています。航空撮影を
40年という一寸長い時間
   けた者として、厳しい現実を多くの方々に知って頂きたいと願うものです。



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